気がつけば季節は秋…。今年一番の北風が吹き荒れた高松港湾物語。

10月にも入ったというのにまだ台風が来やがった。おかげでどこのポイントにも流木だの海藻だの人間がまき散らしたゴミだので大荒れだ。でも、これって結構必要悪。暴風雨の間、ほとんどのアングラーは自宅待機を余儀なくされ、シーバス達にとっては束の間の安息ってトコ。高松沖が荒れると、小型で表層を漂うサヨリのようなベイトフィッシュは港湾部の波が穏やかな場所に避難し、イワシやアジのようなある程度の水深まで潜れるベイトフィッシュは深く潜る。当然シーバス達もこれを知っている。そして我々シーバスアングラーもこれらを知っている。そう、まさに毎年繰り返されているアングラーとシーバスの“イタチごっこ”なのである。

だからといって、毎日着き場が同じな訳ではない。毎年毎年、それもほぼ毎日の様に通ったからこそ得られる“読み”。これこそがそのアングラーにとっての最強の武器になる。道具や技量じゃない、ましてや運などでは有り得ない。この季節に限らず優秀なアングラー達は皆、経験から得られる優れた洞察力を持ち合わせている。では、そのほんの断片を見て頂くことにしよう。

台風が通過した直後の浅瀬+ライトスポット
普段は明暗の境目で1匹出るか出ないかのポイントでも濁りとベイトフィッシュの避難でシーバスの活性が一気に上がる。こんな時は、ほぼどんなルアーでも果敢にバイトしてくるのではないかというのが私の読み。いつもお馴染みのルアーを通す所を敢えて違うルアーでやってみる。まずはメガバスの110SWで1バイト!次に一度もバイトが得られなかったアイマジーンでもバイト。
北風が強く吹いた港湾ライトポイント
秋になると高松では決まって雨の後に強い北風が吹く。(どこもかな?)こうなれば北向きに両翼を広げている高松のほとんどの港湾ライトポイントではシーバスが沸く。何故か?ここからは私の読みだが、風波が岸壁に打ちつける。表層に漂うベイトは当然この風波に乗せられて岸壁に打ちつけられる。シーバス達はこれを知っているんではないだろうか?毎年コンスタントに結果が出る要因の1つがこの北風だが、今年も大いに良い思いをさせて頂いた。
秋の増水 + 大潮の河川
10月後半にもなるとシーバスの中でも気の早い個体は抱卵している。3年前の10/28に釣り上げた52cmのシーバスを調理したときに確認した。この個体を求めてこの時期必ず河川を重点的に攻めるようにしている。何故かって?それはトップゲームが楽しめ、同サイズの未抱卵のものに比べて“引き味”がまるで違うからだ。当然トップに出るだろうという私の読みに部長と推長が協讃をしてくれた。実釣時間1〜2時間で私が3バイト+1バラシ(60up)、部長に63mが1匹。全てサーフェイス系のプラグでの結果だった。

以上、シーバスアングラーの端くれである私の、それもほんの一部の“読み”を紹介させて頂いた。勿論、これに異を唱える人もいるだろう、いや、むしろいて欲しい。釣りにおいて定説は覆されるためにあるべきだろうし、覆すためにアングラーはそれぞれ自分の考えで行動し学習するべきだと思う。自分に釣れない魚を、何故あの人は簡単に釣り上げるのだろう?そう思った瞬間からあなたのアングラーとしての成長が始まっている。(text/T.A.okamu)