ぼくら多忙なサラリーマン。昼休みのほんの十数分が勝負どころ、かもね。(エラそ〜に)

竿を振りたい衝動で朝からソソリ勃っている部長の“釣り気”をなだめすかすのが私の一日の始まりだ。

「部長〜、午後も取材(うどん屋)にアポ入れたんですから昼飯後の10分だけですよ」
「わかっとる!俺も昼からの会議は脱けれんから、タバコに火がついとる10分だけ投げさせてくれ!」

うどん屋取材だのうどん屋調査だのと忙しい合間をぬって希少なジカンを生み出し、二人がやってきたのは部長発掘の詳細はまだ明かせないヒミツのポイント。

雨後の流れあるポイントは妖しい!

この部長理論を試すべく、部長は着くなりキャストに夢中だ。途中、小型艇を釣って見せては場を和ませたりとサービス精神の塊のような兄貴である。部長の馴らしキャストも一段落したようなので、遠慮なくしれ〜っと竿を用意する。
まずは先週ヤフオクでこっそり落札した見たこともないバチタイプのミノーの試運転を楽しまなきゃ。1投目、TAむ〜氏直伝・陰の境目をゆっくりとリトリーブ。アウトバーブに載せ替えた黒光のニクイやつがヌラヌラとトップを這う…。

キラン!

程よいサイズのシーバス君の興味を一瞬引いたが、すぐに見切られてしまったようだ。スレさせてはイカンと逆方向にキャスト。運がいいのか日頃の行いか、別のヤツがゆっくり追走してきた。しかし惜しくもフッキングにはいたらず。いつもならココでバシャンバシャンと追い払うかのごとく連投するのだが、この日のナマぬるい日差しがそうさせたのだろう、ルアーチェンジの衝動に駈られた。

エフテック エスフォー9

尿道炎で腫れ上がった鬼頭の先っぽのようなコイツの顔。おまけにカラーは中ダシ後の太腿を伝うスペルマの如き青くさいグローホロ。ためらうことなくソイツを選び、水門近くの緩やかな水流の先にキャスト。「フィ〜ッシュ!」着水と同時にスペルマミノーに覆い被さったコイツとバトル開始だ。ドラグがギリリと小気味よく鳴り響く。このドラグ音を聞くためだけにルアーをやっている私にとって、音なしのリールなんざぁ絶対許さん。5〜6度、大きくエラ洗いで逃れようとするも上あごにしっかりとフッキング&K西釣具店のバーゲンで買った売価4000円感度良好ロッドのおかげで余裕のアフターバイト。海面の廃油がエラにまわったのか、やがて大人しくなる。部長がテキパキと玉アミを準備してくれたのでビビることなくランディングに成功。昼下がりのパツイチ、部長のおかげてキメられました。ありがとうございました。

尺こそ71とあるものの、空きっ腹なヤツの自重はたった2.6キロ。よほど腹を空かせていたんだろう…。計量後、ヤツをすぐさま放流し、二人がビジネスの場に飛んで帰ったのは言うまでもないけどねっ。。 (Text/Suichon)